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忘れ女たち05/07/2012 shizuoka-he-last/6 [日刊忘れ女たち]

05/15/2012 23:03
日刊忘れ女たち05/07/2012/03854
こゝろを旅する死神−7
カチューシャ(ここは)それはそこで聞いた名前
そこが何処だか判らないけど
やさぐれを真似たり
こどもを殴ったり
文字を読んだり
死神を呼び寄せたり
四十六人の死体が発展したキャベツ(お国を)のように捨てられている
安上がりの酩酊は寒いうなじに必需品だ
のど仏のテロリスト、傀儡する薄荷や麻薬、考えてごらんよ
境目なんて何処にもない
一悪二悪
三キャベツ(何百里)
あたしは不機嫌で
もうあなたとは別れてもいいと思っていた、考えてごらんよ
カチューシャ(離れて遠き)のことをみんな好きだと
川柳の寂びれた赤い着物屋さんが
そんなに云うから
ひな壇だね
苦しむ日本だね
似て非なるむかしを
木漏れ日のように愛せない
こゝろを旅する死神を
あたしが摑まえたわけじゃない
詩人で研究者で守銭奴な
自動照明の階段を白く上がり
千回舐めろよ
汚いことを
たましいに訴える
波止場だよあたしの知らない水平線と
産んだ憶えのない
父親の地平線を
どんなに走ったか
どんなに差別して
美しい鎧のちいさな突起をいじくり回したか
そう云えない
ものごとには采配と云うものがある「それに死神は食いつく」
蝋燭が消えるときに
物語は沈み
ちいさな落胆と
爆笑が
咽喉を横切る
「あおむけにひっくり返った」進め
思わせぶりな名をつけるなこゝろを旅する死神よカチューシャ(満州の)
ああいまは何時だ
笑うなよ
あたしは
白いセータを買ってもらい
駅に向って
行軍したのだ
朝なのか
夕なのか
ちゃんと時計で教えて欲しい
ちゃんと
神にまつわる朝礼とか
プライドの高い宗教弾圧者とか
白鳥の白とか湖の手帳で
知らせて欲しい
いまを続けよう
あしたに希望と野望を持とう
残業もしよう
サラリーマンとか日本人とか云われないようにするため
炎のそとがわで踊ろう
すこししたら夕星がたち
あたしたち死神の役目も終わる
明々と煙る太陽
広々と寝そべる
あたしの駅舎
(赤い夕日に照らされて
あたし野末の石のした)
もう往かない
もう住まない
死神を知らない
こゝろを知らない
忘れ女たち05/06/2012 shizuoka-he-5/6 [日刊忘れ女たち]

05/08/2012 02:06
日刊忘れ女たち05/06/2012/03853
こゝろを旅する死神−6
目頭が重く
こゝろを旅する死神は
坂道をくだっていった
植物図鑑を視せあっている
三人のなかで
あたしだけに視える死神
映画を視て
こゝろが赤く腫れ上がった
テレビを視て
燃えるこゝろの意味が判った
こゝろの枕元に現われたら負け
足下に現われたら勝ち
こゝろを旅する死神の
ほんとうのところのほんとうのこゝろが視えない
太平洋のように
無制限で
廃線の駅のように
旧い恋人を
頼り過ぎなんだあたしだけに視える死神
母さんが死んでから
テレビにはなにも映らない
頼り過ぎなんだ
坂の上のあたしのこゝろに
赤く死神の通り過ぎたあとが残る
震えていて
くるくる廻るあたし
忘れ女たち05/05/2012 shizuoka-he-4/6 [日刊忘れ女たち]

05/13/2012 09:31
日刊忘れ女たち05/05/2012/03852
こゝろを旅する死神−5
読んで字の如く
畳の上で死にたいと満月の
鍵の上で
野うさぎの腹の上で
桃色のリボンを巻いている舌
駅のベンチでワセリンを塗りこんでいる舌
はみ出したもののまだ痺れている舌
読んで股の如く
できるかぎりあなたから離れて死にたいと
鍵男が持っていたクレジットカードで買った手拭やタオル
あらゆる柔らかな死と神と
そして雨の夜ライブハウスの軒下で消えかかっている蝋燭
銀紙の耳で作られたラジオの声が
て仕事をこっとん
あし仕事をこっとん
ゆび仕事をこっとん
みみ仕事をこっとん
軟らかい掛け布団の上での螺旋形になる舌
ぱちぱちと拍手しながら眼を失ってしまう舌
この海岸線に貝づくし料理を食べにゆくまぎれもない舌
読んで頤(おとがい)の如く
あたしはあたしの舌をこうして何時間もじっと視ている
畳の上で死にたいと思う満月を舐めているのを
鍵を開けて
待ち望んでもう耐えられない
五月の魔法の掃除機のように
家へあなたが来る前に
行くわ
忘れ女たち05/04/2012 shizuoka-he-3/6 [日刊忘れ女たち]

05/13/2012 10:00
日刊忘れ女たち05/04/2012/03851
こゝろを旅する死神−4/百パーセントの開合
頬のまん中で思いを運ぶ運河よ
青い血が天使のなかに帰るため
渦巻くららら
返してららら
痛むのは浅はかな船上の人
満月の弾丸にまるまり
一生をかけるくらくら
濡れながら踊るくらくら
開けたり閉じたりする
男の歳を羽交い締めにして
水のなかから青い唇をソラに浮かべ
炎を視つめ
激しさに詰め寄る
らせんの下の渦巻き
運とはなにか
巡り会わすもの何かを付けるもの
生まれた年
太陽が三回つばを吐いた
スターリンが死んだ
テレビが始まった
そのとき何かをしなきゃと食道の周りに
膨らんだものたち
伸びて行き
くねるもの
音楽を求め
すぼめたり広げたりして
口笛を吹いた
こゝろのまん中でくねくねする
歯を噛みしめたまま
渦巻くららら
返してららら
吸い込んで落として百パーセント
夢の反動が燦(さん)をもどし
一生をかたかた過ごすかたかた
濡れながら踊るくらくら
忘れ女たち05/03/2012 shizuoka-he-2/6 [日刊忘れ女たち]

05/13/2012 19:19
日刊忘れ女たち05/03/2012/03850
こゝろを旅する死神ー3
生きているには
曇った嘘も必要です
なぞろうとすると
からだが悪いのか
こゝろが悪いのか
途方もなく
沈んでゆく勝利の船です
生きているには
重いドアーを開ける
青い手袋も必要です
あなたは手袋から顔を脱ぎ
わかい血みどろに
おつかれさまと云われています
五月のわかい血みどろの蚊が
らせんに巻かれて笑ってソラに
らせんに巻かれて泣きながら海に
巻かれるたびに
もう一度もう一度と笑い直し
胸を張って
虚空を視あげます
おつかれさま
ソラと虚空はすこし違います
畳まれたものと
色ズカヌもの
あたしたちはすこしくらい寒くとも
とても友人で
ムカデのように百回力こぶを舐めるのです
こんな殺しは嫌だ
こんな濁った
愛情は嫌だ
公園の外で
猫や犬や人間や魚が殺されてゆきます
こゝろのよわいに
あたしたちの白い月が
運河を渡ります
それは盗賊の姿を映し
二重に股をさえぎるコスチュームで毛細のドルで
近未来を旅している
間違いなく愛液を垂らしている
こゝろ残りは
もうない
きみが生きている理由はなにもない
細密は腐って
互い違いの茸のように
論文のベロを伸ばす「お前」がいるだけでそれもくすむ
ちいさな柄杓ですくいあげ
こころがたった千年しか届かないのに
100パーセント
金曜日のつもりで
森のなかに入ってゆく
忘れ女たち05/02/2012 shizuoka-he-1/6 [日刊忘れ女たち]

05/13/2012 08:15
日刊忘れ女たち05/02/2012/03849
こゝろを旅する死神ー2
ほんとうの日記を付けないので
いまがいつか
ここは温暖な死神のくるところだが
ほんとうは此処がどこか
ほんとうと云うのは
こゝろを旅していないと
ランヴァリアン中藤さんは
剣崎さんとむかし恋仲で
桜川さんと五月に同棲をキメていたこともある
桃代さんとどんな暮らしをしているのだろうか
慰めながらあるいて
蜃気楼の中庭で早すぎもしない遅すぎもしない朝食をとり
言葉にたましいがあるとは信じられなくなって
ほんとうの日記を付けるのを止めた
そう云ってみればなんだか意味ありげだけれど
いまがいつか
ここは人殺しな死神のくるところだが
ほんとうは此処がどこか
嘘と云うのは
こゝろを愛することだとか砕けてしまえ
いま食べている
塩麹鮭を焼いた地平だけが
かけ声を掛け合ってソラと山をのぼって行く
ほんとうの日記を付けなくとも
そこには
こゝろを旅するありとあらゆるものがたどり着けぬ
そんな気圧だけを
愛しているほんとうの青い紐が
塵となって光っている
中庭に浮かんだしめやかな畳の上で
美味しい
なんて云いあっている
忘れ女たち05/01/2012 yasumi-no-hi-ni-dekakeru-nowo-yameru [日刊忘れ女たち]

05/11/2012 08:41
日刊忘れ女たち05/01/2012/03848
こゝろを旅する死神
黄色いスプーンが刺さったままのプリンの砕け
斜ものの五月の花びらが運河に流れ込む
一人抜けた二人抜けた四人抜けた九人が抜けた
職場の明け方に溶けないチョコを噛めば歌う耳鳴り
授業参観日に時計を許している「云われたとおりに時を打つならば」
岩の如く集合してそれから裸になる
ソラに鍵を放つ白いピアノはまだ熱帯の子守歌を自動演奏することができない
ソラをまたぐ激しい鍵穴に入り込み「きみの母さんは若くてとてもきれいだ」
吹き出物のあふれる顔で内職をしていた温帯の睡眠薬を朝のみ
一人補充する二人補充する四人補充する九人補充する
「その理由は?」
「血を入れ替えるためです」
なんのためにそうするのだろう
「きみのためではない」
裸の微塵を
ソラに乗せて
死神は青く
それでよいの?と細まって揺れる紐のようにこゝろを旅します
忘れ女たち04/30/2012 kyoto-eigyou-6/6 [日刊忘れ女たち]

05/08/2012 20:18
日刊忘れ女たち04/30/2012/03847
愛人の植樹
二日酔いの坂道は
円周率の内側にあった
父親は細いネクタイを締めて
狸のへそを出前でとった
敷き布団のしたに脚を入れて
虫が這うのを慰めた
吐く息だけが
暗やみのなかで
植樹した
奪還した江古田橋の
最初の命名が父親の会社を潰し
第一商会は
宮沢さんの股の外側で
永遠に
バナナを視ている
あたしは猫におしっこをかけている
使用人に手を入れて
狸のへそを食卓から盗み
ミシン台のしたで
スカートの内部凝固を
白く確かめた
父親は人心差別そして落下傘製造業
同級生には一人も会わない
失業したのは40代
馬のケツという漢字が判らない
混ぜてはいけない
あたしを母親に生ませてから背広のまま入浴して
母親のぶんまで神経衰弱となった
あたしはそれを安易に受け継いでいる
父親は哲学堂自動有料駐車場
駅前に出るには
柳家小さん師匠の立派な木造門を
三度横切らなければならない
山手線内側で
アルチュール・ランボーに手を振る
あたしたち子どもたちは
脚から腐っていった
豊島区立図書館から借りたその新書を
いつまでも返さなかった
業(カルマ)というものを
間違って使っている
父親は創価学会の刈れた芝生に正座している
読売新聞社の扉の壊れた仏壇の前で
青写真をヒロユキに視せている
これから不動産屋の時代だ
ノーシンを飲みながらしんせいを吸い
きょうも母親に
愛人の植樹を強要した
みなが希望を持っていた良い時代だ
忘れ女たち04/29/2012 kyoto-eigyou-5/6 [日刊忘れ女たち]

05/08/2012 20:19
日刊忘れ女たち04/29/2012/03846
目白のラーメン
記憶がなくなった
兄が作った弱々しい棚に
瞼とよわい性器をならべて
はじめて北回帰線を知った
暴虐の雲と
唱えなかった父親は
東のソラから向きなおり
仏壇のご本尊様のしたから
寂びれた引き出しを舐めて
一万円札を数枚あたしに視せてくれた
これでなにを食べよう
なにが食べたいヒロユキと云うので
帰らぬ人ヒロユキは
そのお金の使い道は知る術がなかったけれど
そのお金は
父親のものではないことを知っていた
だから帰らぬ人ヒロユキは
そのお金は
使えないんでしょと云った
それから将来弁護士先生になる(かもしれない)
理屈っぽい貧血気味の天才は
きょう目白駅前でラーメンが食べたいと
父親を困らせた
ただし、父親がその時
ほんとうに困ったかどうかは
今後の宿題である
忘れ女たち04/28/2012 kyoto-eigyou-4/6 [日刊忘れ女たち]

05/07/2012 22:46
日刊忘れ女たち04/28/2012/03845
惨めな観光
女と云うほど男には成れなかったが
挨拶はした
ショートホープを同時に
二本吸う女も
どうにか姉のいないアパートの部屋に
招待できたし
夜はすでに足の裏だった
思いついたことを
すっかり取り違えていたが
あたしのことを
すべてばらすと云うふうに
これからしていきたい
だれもやらない
だれからも癒されない
だれもやっていない
あなたからだけに話している
乳房の影と白い光だけが
搬出されてゆく
だれもやらない
だれからも一人にはされない
名所旧跡のような(パワースポット)夜をまたいで
電車が止まったときに
ドアー付近にいて
アデンアラビアのひからびた20〜30代を
惨めに観光する
だれもやっている
ガリ版を生徒会室から盗み
姉のアパートに持ち込み
高校5年生の
革命的マルクス派の人に
アジびらの書き方を教わった
だれもやっている
性器をポケットから出して
梯子をもたない池袋の青空を
何度も触った
だれもやっている
惨めな観光を
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