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『白球礼賛 ベースボールよ永遠に』平出隆 [『2011無謀なる366篇』]

『2011無謀なる366篇』vol.16

 「無謀」にピックアップしようと幾箇所かにちいさな折り目を付けたのだけれど、違う。4度めの復習で視つかった。20年以上前に書かれたこの『白球礼賛』によって、わたしは山口哲夫と云う詩人の何か重く激しく裏山から吹いてくる凍える風の存在を知ったのだが、その初代「ファウルズ」監督の危篤が告げられる頁。いいや、ここじゃない、ここをわたしは引用などできない。
 で、視つかった。ここにしようと思っていた箇所は、そのすこし前にありました。

以下引用〜

 会社をやめ、草野球の審判で生計を立てていこうというぼくの夢は、そんな審判員の姿を見て湧いたものだったが、やはり少し先に延ばすことにした。まだまだ選手としてやってゆくべきだと考え直したからである。しかし、会社をやめる決意には変りがなかった。
 九年にわたる編集者の仕事で、すぐれた作家に接するうちに、多くを学ぶことができた。そのうちのもっとも単純でもっとも心に残る教えとは、報われなくとも好きなことだけをやれというものだった。ぼくにとってさしあたりその愛着の対象は、詩とベースボールしかなかった。この二つは、報われぬことおびただしいものだったが、教えはつよい輝きをもってぼくの決心を促した。
 ぼくは三十七歳で、すっかり手ぶらになって、野球の球場に帰っていくことにしたのだった。

    ( 8 最後のシャドウ・ベースボール 「黒衣の二塁手」より)

〜引用終り

 平出隆氏はわたしよりみっつ上だから、このころわたしは三十四歳。数年前に手にした絵画販売の営業職を、幼稚な怖いもの知らずの感覚でこなしていた頃だ。野球も詩も営業後の酒場のカウンターのはるか向こうに、死に損ないの天使のようにゆらゆら揺れていた。
 山口哲夫氏は、巨人ファンだったそうだ。いまもそうだろうか。そうであってほしいな。


白球礼賛/平出隆41wu2xxr1EL._SL500_AA300_.jpg
    平出隆『白球礼賛』岩波新書64 1989年3月20日 第1刷発行
    発行所 株式会社 岩波書店
    



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